整腸剤の効果
整腸剤には、おなかの調子を整える効果があります。
食生活や生活環境の変化、ストレスなどで腸の働きが低下すると、腸内フローラのバランスが崩れ、便秘や下痢などさまざまな不調が起こります。
便の状態はあらゆる要因で変化しますが、腸内の善玉菌が減り、悪玉菌が増えると、便秘にも軟便にもなります。整腸剤は、腸の善玉菌を増やし、悪玉菌とのバランスを整えるように働きかけるため、便秘と軟便の両方の症状に効果があります。
腸内フローラは、主に大腸にいる腸内細菌集団を指しますが、善玉菌が優勢な腸内フローラを目指すことが体の健康づくりには欠かせません。
市販の整腸剤が使える症状
市販の整腸剤には、腸内フローラのバランスを改善することで、便通を整える効果がありますが、そのほかにも次のような症状に使うことができます。
市販の整腸剤が使える症状 |
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整腸(便通を整える)、便秘、腹部膨満感、軟便 |
おならが臭いときにも使える?
市販の整腸剤には、おならのにおいを消す効果はありません。
高タンパク、高脂質の食事、また、芋類などの食物繊維を過剰に摂取すると、悪玉菌が腸内で勢いを増し、においのあるガスを発生させやすくなり、おならのにおいの元となります。
そのため、腸内細菌のバランスを整える整腸剤を服用することで、間接的ににおいが改善することもあります。
市販の整腸剤とその選び方
市販の整腸剤は、乳酸菌などの善玉菌のみが含まれたもののほか、乳酸菌に加えてビタミンなどさまざまな成分が含まれたものがあります。
いずれも使える症状に違いはありませんが、含まれている成分や剤形、服用年齢などを軸に使用するシーンや好みに応じて選びましょう。
ビオフェルミンS錠|指定医薬部外品
成分 | 特徴 | |
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・コンク・ビフィズス菌末 |
剤形 | 白色〜淡黄かっ色の錠剤 |
服用年齢 | 5歳以上 |
ビオフェルミンS錠は、ヒト由来の乳酸菌が腸内フローラを整え、悪玉菌の増殖をおさえます。
ビオスリーHi錠|指定医薬部外品
成分 | 特徴 | |
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・酪酸菌 |
剤形 | やや甘みのある小粒の錠剤 |
服用年齢 | 5歳以上 |
ビオスリーHi錠に含まれる3種の菌は、もともと健康な人の腸内に存在する善⽟菌です。
3種の菌が腸内フローラと大腸のバリア機能を改善することで、便通を整えます。3種の菌はお互いに相性が良く、それぞれを単独でとるよりも、あわせてとる方がより多く増殖します。
やや甘みのある小粒の錠剤タイプで、薬の味が苦手な方にもおすすめです。
ビオスリーH|指定医薬部外品
成分 | 特徴 | |
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・酪酸菌 |
剤形 | やや甘みのある散剤(粉薬) |
服用年齢 | 生後3か月以上 |
ビオスリーHは、ビオスリーHi錠と同じ3種の菌が含まれているシンプル処方の整腸剤です。
生後3か月以上の赤ちゃんも服用できますが、服用させる場合は、そのまま舐めさせるか、少量の水などに混ぜて飲ませてください。
ガスピタンa
成分 | 特徴 | |
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・ラクトミン(フェカリス菌) |
剤形 | 水なしで噛んで飲めるヨーグルト味の錠剤 |
服用年齢 | 15歳以上 |
ガスピタンaは、3種類の乳酸菌と消化酵素(セルラーゼAP3)、消泡剤(ジメチルポリシロキサン)を配合した整腸剤です。
消化酵素が食物繊維を分解し、ガスの発生をおさえるだけでなく、消泡剤が胃や腸内に発生したガスだまりをつぶすことで、今あるガスだまりを改善します。
特にお腹の張りやおならが気になる方に向いています。
整腸剤と下痢止め・便秘薬との使い分け
下痢止めや便秘薬に比べ、整腸剤は時間をかけて作用するため、「下痢や便秘の症状をすぐに改善したい」という場合は、下痢止めや便秘薬の方が適している場合もあります。
一般的に下痢止めといわれる薬は、腸の動きを止めたり過剰な水分や有害物質を吸着することで下痢を止めます。便秘薬は、腸を刺激したり、便をやわらかくすることで便秘を解消します。
こんな時・こんな方は、整腸剤を試してみるのがよいでしょう。
症状 | 整腸剤の使用が考えられるシーン |
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下痢 | ・妊娠・授乳中の方などで、下痢止めを使いたくない ・ウイルスや細菌感染による下痢で、市販の下痢止めの使用が適さない ・下痢止めを使用できる年齢に達していない など |
便秘 | ・妊娠・授乳中の方などで、便秘薬を使いたくない ・便秘薬を使用できる年齢に達していない など |
両方 | ・症状は治ったものの、普段からお腹が弱く、下痢や便秘になりやすいため腸を整えておきたい など |
市販の下痢止めやその選び方については、別記事で詳しく解説しています。
便秘薬については、こちらの記事をご参考にしてください。
市販の整腸剤の副作用について
この記事で紹介している整腸剤について、ガスピタンaの添付文書によると、次のような症状は副作用の可能性があるとされています。
一方、ビオフェルミンS錠、ビオスリーHi錠、ビオスリーHは副作用の記載がありません。ですが、市販薬を使用する際は、添付文書に記載された服用期間、用法・用量を守り、気になる症状がある場合には早めに医療機関を受診しましょう。
副作用とみられる症状 | |
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ガスピタンa | 発疹・発赤、かゆみ、下痢(※) |
(※)下痢症状の持続または増強が見られた場合には、服用を中止し、添付文書をお持ちの上、医師・薬剤師にご相談ください。
市販の整腸剤に関するQ&A
Q 毎日飲んでもいいですか?
A 毎日服用しても問題ありません。整腸薬に配合される成分は、主に腸内フローラのバランスを整えることを目的としており、長く飲み続けることで効かなくなったり、止められなくなったりすることはありません。
なかでも乳酸菌などの善玉菌は、一度摂っても減ることがあるため、定期的に摂取し続けることが大切だと考えられています。
Q 整腸剤って飲んだら痩せるの?
A 現時点で、整腸剤を飲んだら痩せるという報告はありません。
Q 整腸剤を飲んだら、おならが増えたけど大丈夫?
A 整腸剤のなかでも、消泡剤が配合されたガスピタンaは、服用後におならが増えるケースもあり得ます。
特に腸内にガスが溜まっていた場合は、飲み始めに溜まって出にくくなっていたガスを出しやすくすることで、腹部膨満感を解消するため、服用後しばらくはおならが多くなることがあります。
その後、有効成分の整腸作用によりガスだまりが起きにくい腸内環境となり、おならが過剰に出ることは少なくなります。