ストレスが原因の不眠は市販薬で治せる?
不眠の原因の1つにストレスがあります。学校や仕事で嫌なことがあったり、不安なことがあって夜眠れない、という経験をしたことがある方も多いでしょう。不眠症状は根本原因となっているストレスを取り除くのが一番の対策方法です。ただしそれが難しい場合は、薬によって一時的な対応を行うのも1つの方法です。
一時的な不眠であれば市販薬でも対処可能
市販で不眠にアプローチできる薬に漢方薬や睡眠改善薬があります。
ただし、病院で処方される睡眠薬が不眠症状全般に対応できるのに対し、市販の漢方薬や睡眠改善薬はあくまで一時的な不眠症状にのみ効果を発揮します。
ストレスによって長期間眠れていない、という方は市販薬での対処が難しいため、病院を受診しましょう。
不眠に効く市販薬の種類
市販されている不眠に効果を発揮する薬は、病院での診察を必要とせず、薬局やインターネットですぐに購入できるというメリットがあります。不眠に効果がある市販薬は大きくわけると2種類あります。
睡眠改善薬(ジフェンヒドラミン塩酸塩)
花粉症などのアレルギー薬の主な副作用の1つに「眠気」があります。これは薬に含まれるジフェンヒドラミン塩酸塩などの抗ヒスタミン成分というくしゃみや鼻水などのアレルギー症状をおさえる成分によるものです。
ジフェンヒドラミン塩酸塩には脳の覚醒の維持や調整の役割を担うヒスタミンを抑制する働きがあるため、眠気を引き起こします。ジフェンヒドラミン塩酸塩配合の睡眠改善薬は副作用である眠気の作用を逆手にとって作られた薬です。
漢方薬
漢方薬は眠気自体を引き起こす作用はありませんが、不眠の原因となる体質を改善することによって、自然な眠気を引き起こすアプローチをします。
ストレスによる不眠に効く市販薬の選び方
市販薬で不眠に効果がある薬を選ぶ場合は、西洋薬にあたるジフェンヒドラミン塩酸塩か、漢方薬の二択になり、それぞれ特徴が異なります。
特徴 | |
---|---|
西洋薬 |
・眠気をうながす作用がある ・一時的な不眠に使用できる ・長期連用は避ける必要がある |
漢方薬 |
・直接的に眠気をうながす作用はない ・不安になりがち、イライラしがちなどの体質起因の不眠に効果的 ・長期的に服用が可能 |
一時的なストレスの不眠には西洋薬
西洋薬であるジフェンヒドラミン塩酸塩には眠気を直接的にうながす作用があります。体質に関係なく「翌日早起きできるか心配」などの一時的なストレスからくる不眠には西洋薬がおすすめです。
●一時的なストレスからくる不眠の例●
・翌日が新しい職場の初出勤日で緊張して眠れない
・旅行で早起きしなくてはいけないので寝坊しないか心配で眠れない
ただし、西洋薬は長期服用ができないため注意が必要です。緑内障や前立腺肥大の方は使用前に医師や薬剤師に相談する必要があります。また、妊娠中は服用ができず、授乳中の方に関しては、服用する場合は授乳を避ける必要があります。
体質が原因となる不眠には漢方薬
漢方薬には直接的に眠気をうながすような成分は入っていませんが、「不安になりがち」「イライラしがち」などの不眠の原因となりえる体質に対してアプローチする効果があります。
●体質が原因となる不眠の例●
・些細なことですぐに不安になってしまって眠れないことが多い
・性格的にすぐにイライラしてしまって眠れないことが多い
不眠の原因に自身の体質が起因していると感じる方は、漢方薬を服用してみても良いでしょう。漢方薬は体質を根本的に改善することによって身体の不調を整える薬なので、人によっては効果が現れるまでに時間を要するケースもあります。
不眠に効く漢方薬の選び方
不眠に効果を発揮する主な漢方薬には、酸棗仁湯、加味帰脾湯、柴胡加竜骨牡蛎湯などがあります。どの漢方薬もストレスによる不眠に対して効果を発揮しますが、それぞれ特徴が異なるため、体質に合った漢方薬を選ぶ必要があります。
漢方薬を選ぶ場合は、まず自身の体質が虚証と実証どちらに当てはまるかを確認しましょう。体質がどちらに当てはまるかによって適した漢方薬が異なります。
主な特徴 | 漢方薬 | |
---|---|---|
虚証 |
・細くて華奢 ・体力がない ・寒がり |
・酸棗仁湯 ・加味帰脾湯 |
実証 |
・筋肉質でガッチリ体型 ・体力がある ・暑がり |
・柴胡加竜骨牡蛎湯 |
酸棗仁湯
心身の疲れや精神的な不安などがある方の不眠を改善する漢方薬です。
日頃から精神不安がある方、特に眠りが浅くて夜に何度も目が覚める、夢を多く見るような不眠の方におすすめです。
加味帰脾湯
酸棗仁湯と同様に、疲れや精神的な不安を改善する効果のある漢方薬です。
柴胡加竜骨牡蛎湯
精神的な不安があり、動悸や便秘を伴う不眠がある方におすすめです。
市販の不眠に効く薬
市販で購入できる不眠に効く薬を、漢方薬と西洋薬に分けてご紹介します。ご自身の体質や悩みに合わせて薬を購入しましょう。
漢方薬
漢方ナイトミン 72錠(第2類医薬品)【第二類医薬品】
剤形 | 成分 |
---|---|
錠剤 | 酸棗仁湯エキス |
年齢 | 1回量 | 服用回数 |
15才以上 |
4錠 |
1日3回 |
15才未満 |
服用しないでください |
酸棗仁湯は、どちらかといえば体力がなく、心身が疲れて眠れない方に適した漢方薬です。
漢方の酸棗仁湯処方のお薬である漢方ナイトミンは、心身のバランスを整え、続く不眠を改善します。
錠剤のため、漢方独特の苦味が苦手な方でも比較的飲みやすいお薬です。
【効能効果】
体力中等度以下で、心身が疲れ、精神不安、不眠などがあるものの次の症状:不眠症、神経症
和漢箋ユクリズム 36錠(第2類医薬品)【第二類医薬品】
剤形 | 成分 |
錠剤 |
加味帰脾湯エキス |
年齢 | 1回量 | 服用回数 |
15才以上 |
4錠 |
1日3回 |
7才以上15才未満 |
3錠 | |
5才以上7才未満 |
2錠 |
|
5才未満 |
服用しないでください |
漢方の加味帰脾湯は疲れやストレスからくるイライラや不安を緩和し、不眠症状の改善につながります。弱った胃腸へも働きかけるため、不安やストレスがかかった時にお腹に不調をきたしやすい方におすすめの漢方薬です。
【効能効果】
体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪く、ときに熱感を伴うものの次の諸症:貧血、不眠症、精神不安、神経症
「クラシエ」漢方柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒 24包【第二類医薬品】
剤形 | 成分 |
顆粒 |
柴胡加竜骨牡蛎湯エキス |
年齢 | 1回量 | 服用回数 |
15才以上 |
1包 |
1日3回 |
7才以上15才未満 |
2/3包 |
|
4才以上7才未満 |
1/2包 | |
2才以上4才未満 | 1/3包 | |
2才未満 |
1/4包 |
※ 生後3ヵ月未満の乳児は服用できません。
※ 1才未満の乳児には医師の診療を受けさせることを優先し、やむを得ない場合にのみ服用できます。
体型が割とガッチリしていて、ほてりがちな方に使用される漢方薬です。
顆粒タイプなので錠剤を飲み込むことが苦手な方にもおすすめです。
【効能効果】
体力中等度以上で、精神不安があって、動悸、不眠、便秘などを伴う次の諸症:高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年期神経症、小児夜泣き、便秘
西洋薬
ドリエル 6錠【指定第二類医薬品】
剤形 | 成分 |
錠剤 |
ジフェンヒドラミン塩酸塩 |
年齢 | 1回量 | 服用回数 |
15才以上 |
2錠 |
1日1回 |
15才未満 |
服用しないでください |
ジフェンヒドラミン塩酸塩を有効成分とする錠剤タイプの睡眠改善薬です。ジフェンヒドラミン塩酸塩には脳の覚醒の維持や調整の役割を担うヒスタミンを抑制する働きがあるため、眠気を引き起こします。
明日早起きできるか心配で眠れない、友人と喧嘩してしまいモヤモヤして眠れない、などといった外的要因からくる一時的な不眠症状におすすめの薬です。
【効能効果】
一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い、眠りが浅い
リポスミン 12錠【指定第二類医薬品】
剤形 | 成分 |
錠剤 |
ジフェンヒドラミン塩酸塩 |
年齢 | 1回量 | 服用回数 |
15才以上 |
2錠 |
1日1回 |
15才未満 |
服用しないでください |
抗ヒスタミン成分の作用である眠気を利用した市販薬リポスミンは、1回2錠で6回分使用することができます。
明日早起きできるか心配で眠れない、友人と喧嘩してしまいモヤモヤして眠れない、などといった外的要因からくる一時的な不眠症状におすすめの薬です。
【効能効果】
一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い、眠りが浅い
日常生活での注意点
不眠の原因はストレスと生活習慣が大きく関わっていることが多いです。薬の服用とあわせて次のことに注意しましょう。
ストレスをためない
ストレスの原因がどこにあるか自覚している場合は、なるべくその環境から離れて生活をするようにしましょう。また、ストレスを感じた場合のストレス解消方法を見つけておくことも重要です。
リラックス効果のある音楽を効く、お風呂にゆっくり浸かる、マッサージをするなど、自分なりの解消方法を見つけてストレスをためないようにしましょう。
適度な運動をする
適度な運動で程よい疲労感を得ることによって、寝つきが良くなり、夜中に目覚めてしまうことを予防します。また、運動はストレス解消に繋がる場合もあります。
ウォーキングや軽いランニング、水泳などの有酸素運動を毎日30分程度おこなうと良いでしょう。
朝起きたら日光を浴びる
起床したらすぐに日光を浴び、体内時計を正常に動かしましょう。
特に昼~夕方に体温をあげることによって、就寝時間の体温が下がりやすくなります。
就寝前の食事について
就寝4時間前には夕食を終えるようにしましょう。生活のサイクル的に難しい場合は、油ものを控えるなど、胃に負担がかかりすぎない夕食を意識することが大切です。
就寝前はカフェインが含まれる飲み物も控えましょう。お酒は一時的に寝つきが良くなるように思えますが、眠りが浅くなり夜中に目を覚ましてしまい逆効果となります。
就寝前に電子機器を見ない
就寝の1時間〜30分前にはテレビ・パソコン・スマートフォンなどの電子機器から離れましょう。電子機器の画面を見たり操作しているときは脳は興奮状態にあります。脳が落ち着くまでには時間がかかるため、就寝の妨げになってしまいます。
寝る前には脳を落ち着かせる行動をすることが大切です。リラックスというと自分が好きなことをすればいいと考えがちですが、就寝前においては例え音楽でも自分が好きなものだと脳は興奮してしまいます。布団の中での考えごとも、脳を活発に活動させてしまうため控えましょう。