貧血の種類・対処法
貧血とは、赤血球のなかに含まれているヘモグロビン濃度が低下した状態のことです。
貧血になるとめまいや頭痛、疲労感、動悸、息切れ、耳鳴り、手足の冷えなどの症状が現れます。
貧血の種類|鉄欠乏性貧血など
貧血には以下のような種類があります。
・鉄欠乏性貧血 ・再生不良性貧血 ・溶血性貧血 ・巨赤芽球性貧血 ・二次性貧血 など |
上記のなかでもとくに多い貧血が、鉄欠乏性貧血です。
鉄欠乏性貧血は、月経出血などによる失血や鉄分の摂取不足などが原因で起こります。
なお、貧血は胃がんや大腸がん、白血病などの疾患が原因で起こることもあります。貧血の原因がはっきりしない場合は病院を受診しましょう。
鉄欠乏性貧血への対処法
鉄欠乏性貧血への対処法は原因によって異なります。
■病気などによる出血が原因の場合
鉄欠乏性貧血の原因が胃潰瘍などの病気による出血の場合は、出血の原因を特定して出血を止める必要があるため、病院を受診しましょう。
■鉄分の摂取不足が原因の場合
鉄欠乏性貧血の原因が鉄分の摂取不足の場合は、鉄剤が配合された市販薬やサプリメントで対処できます。
貧血に伴う症状や女性ホルモンの乱れによる貧血がある場合の対処法
貧血に伴う足腰の冷えや疲れやすいなどの症状がある場合は漢方薬で、女性ホルモンの乱れに伴う貧血がある場合は、命の母などの生薬製剤で対処できます。
貧血に効く市販薬の選び方|鉄剤配合の医薬品など
貧血に効く市販薬には、医薬品やサプリメント、漢方薬、生薬製剤があり、それぞれ効果や役割などが異なります。
医薬品を選ぶとき
めまいや頭痛、動悸、手足の冷えなどの貧血の症状がある人は、貧血改善の効能効果が明記されている、医薬品を選びましょう。
ただし、医薬品を2週間ほど服用しても症状が改善しない、または悪化する場合は、服用を中止し医師や薬剤師、登録販売者にご相談ください。他の病気の可能性も考えられます。
サプリメントを選ぶとき
食事から十分な鉄分をとるのが大変な方や、鉄分不足が気になる方などは、サプリメントから補助的に鉄分を摂取しましょう。
医薬品とは違い、サプリメントの場合は貧血改善の効能効果は明記されていません。
漢方薬を選ぶとき
貧血だけでなく、貧血に伴う体質の改善をしたい方は漢方薬を選びましょう。漢方薬の場合は、体質を整えることで、貧血だけではなく貧血に伴う足腰の冷えや心身の疲れなどの症状も一緒に改善します。
生薬製剤を選ぶとき
更年期にさしかかったことによる貧血や、月経に伴う貧血など、女性ホルモンの乱れに伴う貧血がある場合は、命の母などの生薬製剤がおすすめです。
貧血に効く市販薬|鉄剤配合の医薬品
めまいや頭痛、動悸、手足の冷えなどの貧血の症状がある人は、貧血改善の効能効果が明記されている医薬品を選びましょう。
商品画像 | 特徴 |
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・鉄分配合 ・鉄分の吸収を高めるビタミンC配合 ・赤血球を守るビタミンE酢酸エステル配合 ・赤血球をつくるために必要なビタミンB12、葉酸配合 ・1週間の服用で貧血への効果が期待できる |
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・鉄分配合 ・赤血球をつくるために必要なビタミンB12、葉酸配合 ・腸で溶けるため胃を荒らしにくい ・鉄の味やニオイがおさえられているコーティング錠タイプ |
マスチゲン錠|鉄分の吸収を高めるビタミンC配合
マスチゲン錠 60錠【第二類医薬品】
有効成分 | 対象年齢・服用回数 |
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溶性ピロリン酸第二鉄 ビタミンC ビタミンE酢酸エステル ビタミンB12 葉酸 |
大人(15歳以上)|1日1錠(1日1回) |
マスチゲン錠は、鉄分と鉄分の吸収を高めるビタミンC、赤血球を守るビタミンE酢酸エステルなどが配合された医薬品です。
貧血が原因の疲れやだるさや、めまいや朝の起きづらさなどに効果をあらわします。
1日1錠、1週間の服用で貧血への効果が期待できます。
ファイチ|腸で溶けるため胃を荒らしにくい
ファイチ 120錠【第二類医薬品】
有効成分 | 対象年齢・服用回数 |
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溶性ピロリン酸第二鉄 シアノコバラミン(ビタミンB12) 葉酸 |
大人(15歳以上)|1日2錠(1日1回) |
ファイチは、鉄分と赤血球をつくるのに必要なビタミンB12と葉酸が配合された医薬品です。ヘモグロビンをつくり貧血を改善します。
コーティング錠のため鉄の味やニオイがおさえられています。また、腸でとけるため胃を荒らしにくく、効果的に成分を体内に吸収できます。
ファイチは8歳以上の方から服用できます。
鉄剤配合のサプリメント
食事から十分な鉄分をとるのが大変な方や、鉄分不足が気になる方などは、サプリメントから補助的に鉄分を摂取しましょう。
商品画像 | 特徴 |
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・鉄分配合 ・赤血球をつくるために必要なビタミンB12、葉酸配合 ・食事のバランスが気になる方に ・1日1粒が目安 |
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・鉄分配合 ・赤血球をつくるために必要なビタミンB12、葉酸配合 ・鉄分不足が気になる方に ・1日2粒が目安 |
ディアナチュラ ヘム鉄 |1日1粒(目安量)
ディアナチュラ ヘム鉄 withサポートビタミン2種 30粒
1日摂取目安量 |
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1日1粒 |
ディアナチュラ ヘム鉄は、鉄分に加えて葉酸、ビタミンB12などが配合されたサプリメントです。食事のバランスが気になる方などにおすすめです。
1日の摂取目安量は1粒です。ディアナチュラ ヘム鉄を摂取目安量どおり服用すると、鉄を3mg、葉酸を200μg、ビタミンB12を2μg摂取することができます。
DHC ヘム鉄|1日2粒(目安量)
DHCヘム鉄 120粒
1日摂取目安量 |
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1日2粒 |
DHC ヘム鉄は、鉄分に加えて葉酸、ビタミンB12などが配合されたサプリメントです。
鉄分不足が気になる方などにおすすめです。
1日の摂取目安量は2粒です。DHC ヘム鉄を摂取目安量どおり服用すると、鉄を10mg、葉酸を75μg、ビタミンB12を1μg摂取することができます。
貧血に伴う体質改善に効く市販薬|漢方薬
貧血だけでなく、貧血に伴う体質の改善をしたい方は漢方薬を選びましょう。
ツムラ漢方当帰芍薬散科エキス顆粒|体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向がある方に
ツムラ漢方当帰芍薬散料エキス顆粒 20包(第2類医薬品)【第二類医薬品】
対象年齢・服用回数 |
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成人(15歳以上)|1回1包(1日2回) 15歳未満7歳以上|1回2/3包(1日2回) 7歳未満4歳以上|1回1/2包(1日2回) 4歳未満2歳以上|1回1/3包(1日2回) 2歳未満の方は服用しないでください |
ツムラ漢方当帰芍薬散科エキス顆粒の効果・効能は以下のとおりです。
体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の症状: 月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り |
加味帰脾湯エキス顆粒クラシエ|心身が疲れやすい方の貧血に
クラシエ加味帰脾湯エキス顆粒 45包【第二類医薬品】
対象年齢・服用回数 |
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成人(15歳以上)|1回1包(1日3回) 15歳未満7歳以上|1回2/3包(1日3回) 7歳未満4歳以上|1回1/2包(1日3回) 4歳未満2歳以上|1回1/3包(1日3回) 2歳未満の方は服用しないでください |
加味帰脾湯エキス顆粒クラシエは、不眠症の効能効果もあるため、心身が疲れている方の貧血だけでなく、疲れていて寝付きが悪い方にも使用できます。
効果・効能は以下のとおりです。
体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪く、ときに熱感を伴うものの次の諸症:貧血、不眠症、精神不安、神経症 |
加味帰脾湯エキス顆粒クラシエは、顆粒剤タイプの飲み薬です。
女性ホルモンの乱れに伴う貧血に効く市販薬|生薬製剤
更年期にさしかかったことによる貧血や、月経に伴う貧血など、女性ホルモンの乱れに伴う貧血がある場合は、命の母などの生薬製剤がおすすめです。
商品画像 | 特徴 |
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・13種類の生薬とビタミン類などを配合 ・ホルモンバランス・自律神経の不調による諸症状に ・小さくて飲みやすい糖衣錠タイプ |
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・11種類の生薬を配合 ・生理・ホルモンバランスからくる諸症状に |
命の母A|ホルモンバランス・自律神経の不調による諸症状に
命の母A 840錠【第二類医薬品】
対象年齢・服用回数 |
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成人(15歳以上)|1回4錠(1日3回) 15歳未満の方は服用しないでください |
命の母Aは、13種類の生薬とビタミン類、カルシウムなどが配合された生薬製剤です。
効能・効果は以下のとおりです。
更年期障害、更年期神経症、血の道症※、のぼせ、生理不順、生理異常、生理痛、肩こり、冷え症、肌荒れ、めまい、耳鳴り、動悸、貧血、にきび、便秘、ヒステリー、帯下、産前産後、下腹腰痛、血圧異常、頭痛、頭重 ※月経、妊娠、出産、産後、更年期等女性のホルモンの変動に伴ってあらわれる精神不安やいらだち等の精神神経症状及び身体症状のこと |
命の母Aは、小さくて飲みやすい糖衣錠タイプの飲み薬です。
命の母ホワイト|生理・ホルモンバランスからくる諸症状に
命の母ホワイト 360錠【第二類医薬品】
対象年齢・服用回数 |
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成人(15歳以上)|1回4錠(1日3回) 15歳未満の方は服用しないでください |
命の母ホワイトは、11種類の生薬が配合された生薬製剤です。
効能・効果は以下のとおりです。
月経痛、月経不順、ヒステリー、腰痛、頭痛、貧血、冷え症、血の道症※1、肩こり、めまい、動悸、こしけ※2 ※1 月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性ホルモンの変動に伴ってあらわれる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のこと |
命の母ホワイトは、小さくて飲みやすい糖衣錠タイプの飲み薬です。
鉄欠乏性貧血に効く市販薬(鉄剤)を使用するときの注意点|副作用など
鉄欠乏性貧血に効く市販薬(鉄剤)を使用するときは、よくある副作用や薬の併用などの注意点を把握することが大切です。
鉄剤の使用で副作用がでたときの対処法|タール便や便秘、吐き気など
鉄欠乏性貧血に効く市販薬(鉄剤)を使用すると、タール便(黒い便)、吐き気、嘔吐、食欲不振、胃の不快感、腹痛、便秘、下痢などの消化器系の副作用が起こることがあります。便秘、吐き気などの症状が続く場合、もしくは症状がひどくなる場合は、服用を中止し必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
■タール便(黒い便)の症状がひどくなる場合は注意が必要
タール便(黒い便)は鉄欠乏性貧血に効く市販薬(鉄剤)を使用すると起こりやすい副作用ですが、消化管出血などの病気に伴う症状としてもあらわれる場合もあります。
鉄剤の服用により便が黒くなっている場合は特に問題はありませんが、症状がひどくなる場合には、医師や薬剤師に相談しましょう。
鉄剤と他の薬との併用には注意
鉄欠乏性貧血に効く市販薬(鉄剤)と他の薬を併用すると、効果が落ちてしまう場合があります。
鉄欠乏性貧血に効く市販薬(鉄剤)と他の薬を併用するときは、服用前に薬剤師に相談してください。
また、貧血の薬(鉄分を含む市販薬)を服用している間は、他の貧血用薬を服用することはできませんので注意してください。
妊娠している人又は妊娠していると思われる人の鉄剤の服用について
妊婦又は妊娠していると思われる人は、薬に添付された添付文書を確認し、服用する前に医師や薬剤師に相談してください。
日常生活でできる貧血対策
貧血対策では医薬品やサプリメントなどの服用に加えて、食生活に気をつけることも大切です。
食事からしっかりと鉄をとる
貧血対策には、食事からしっかりと鉄をとることが重要です。
鉄を多く含む食品には、レバーやかつお、まぐろ、小松菜、調整豆乳などがあります。
鉄以外の栄養素もしっかりととる
貧血対策には、鉄だけでなく、たんぱく質やビタミンC、葉酸、ビタミンB12などをとることが大切です。
タンパク質はヘモグロビンの材料に、ビタミンCは鉄の吸収を高めてくれます。葉酸、ビタミンB12は赤血球がつくられるときに必要な栄養素です。
栄養素 | 食材 |
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タンパク質を多く含む食品 |
牛肉 |
ビタミンCを多く含む食品 | 緑黄色野菜 果物 など |
葉酸を多く含む食品 | レバー ほうれん草 納豆 など |
ビタミンB12を多く含む食品 | レバー 魚介類 チーズ など |
食生活を整える
貧血対策には、食生活を整えることが大切です。
ムリなダイエットをする、朝食を抜くなど食生活が乱れていると貧血の原因になります。
女性の場合は生理や妊娠などで多くの鉄が必要になる
生理や妊娠など女性の場合は、多くの鉄を必要とします。とくに妊娠中・授乳中は鉄はもちろん、ビタミン・ミネラルなどの栄養素が必要になるため、十分な栄養がとれる食生活を心がけることが大切です。
なお、生理中の月経がひどい場合には、過多月経という病気が関わっていることがあります。生理中のひどい月経が続く場合は病院を受診しましょう。
女性が1日に必要な鉄の量
女性が1日に必要な鉄の量(mg)は、以下のとおりです。(日本人の食事摂取基準2020年度版より)
年齢 | 推奨量 (月経なし) |
推奨量 (月経あり) |
---|---|---|
10~11歳 | 8.5 | 12.0 |
12~14歳 | 8.5 | 12.0 |
15~17歳 | 7.0 | 10.5 |
18~29歳 | 6.5 | 10.5 |
30~49歳 | 6.5 | 10.5 |
50~64歳 | 6.5 | 11.0 |
65〜74歳 | 6.0 | - |
75歳以上 | 6.0 | - |
妊婦初期 |
+2.5 | - |
妊娠中期・後期 (付加量) |
+9.5 | - |
授乳婦 (付加量) |
+2.5 | - |
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