蟯虫(ぎょうちゅう)について
ぎょう虫は、腸に寄生する線虫の一種です。野菜などについたぎょう虫の卵が口から入ることで感染します。感染力が強く、肛門付近にかゆみを感じることがあります。
ぎょう虫の感染は子どもに多く、その家族に感染が広がることも多いです。
ぎょう虫は家族間で感染する
ぎょう虫は通常、腸で生活していますが、夜になるとメスが肛門周囲の皮膚に卵を産みつけます。産卵時に強いかゆみを感じることが多く、無意識に掻いて指や爪に卵が付着してしまいます。
ぎょう虫の卵は粘着力が強いため、手などから衣類や寝具、ドアノブなどに付着し、家族などの集団生活で感染します。
特に子どもは、ぎょう虫の卵が付着した手指をなめてしまうことなどから再感染のリスクも高いです。
ぎょう虫感染症の治療方法
ぎょう虫の感染が疑われる場合は、ぎょう虫の卵を見つける検査が行われます。その後、腸内のぎょう虫を駆除する飲み薬を服用します。
ぎょう虫の感染がわかった場合は、身近で生活している方も検査と駆虫が必要になります。
ぎょう虫の検査
起床直後の排便前に、セロファンテープを肛門に押し付けて、ぎょう虫の卵が付着していないか調べます。
以前は学校健診として、小学3年生以下の児童に寄生虫卵検査が義務付けられていましたが、平成27年度に廃止されています。
ぎょう虫駆除に使用される薬
腸内のぎょう虫の駆除には、線虫の駆除に用いられる駆虫薬を服用します。
医療用では、『ピランテルパモ酸塩(パモ酸ピランテル)』を主成分としたコンバントリン錠などが使用されています。1回の服用で完全に駆除することは難しいため、2週間後にもう一度服用して、完全にいなくなったことを確認するために検査をします。
ぎょう虫に効く市販薬|パモキサン錠
腸内のぎょう虫を駆除する薬は市販薬としても販売されています。2023年12月現在、体内のぎょう虫の駆除に使用できる市販薬は佐藤製薬から販売されているパモキサン錠のみです。
パモキサン錠 6錠【第二類医薬品】
パモキサン錠は『パモ酸ピルビニウム』を主成分としたぎょう虫駆除剤です。5歳以上の子どもから大人まで使用することができます。
医療用の薬とは異なり、服用は基本的には1回のみで、2回目の服用をする場合は1か月以上の間隔を空ける必要があります。
妊娠中・授乳中の使用について
妊娠中の方は、服用前に医師に相談してください。
授乳中の方は、服用しても差し支えありません。子どもの誤飲には注意してください。
●用法・用量
年齢 | 1回量 | 1日服用回数 |
---|---|---|
15歳~ |
5錠 |
1回 |
11~14歳 |
3錠 |
|
8~10歳 |
2錠 |
|
5~7歳 |
1錠 |
ぎょう虫の予防と対策
ぎょう虫に感染した本人だけが治療しても、家族内に感染者がいると再感染を繰り返してしまうため、家族や集団が一斉に治療することが大切です。
治療中でも、ぎょう虫の卵が再度体内に入ってしまうと再感染してしまうため、以下のことに気を付けて再感染を防ぎましょう。
衣類や寝具は毎日交換する
ぎょう虫の卵は直射日光に弱いため、下着やパジャマ、布団、シーツなどは毎日交換し日光消毒しましょう。
身の回りの掃除をする
電気のスイッチ、ドアノブ、蛇口、冷蔵庫の扉、トイレの床、便座やフタ、リモコン、子どもが使うおもちゃなど、よく手が触れる場所はしっかり消毒しましょう。
床に落ちているぎょう虫の卵を取り除くために、掃除機をかけることも大切です。
体を清潔にする
爪を短く切り、こまめに手を洗いましょう。手に付着したぎょう虫の卵を口に入れないようにすることが大切です。
朝起きたらシャワーを浴びると、寝ている間に体に付着したぎょう虫の卵を洗い流すことができます。ぎょう虫が産卵する肛門部も毎日洗いましょう。
野菜を水洗いする
健康志向から有機栽培の野菜を摂取して、ぎょう虫症になることもあります。有機栽培の野菜も、食べる前にはしっかりと水洗いをしましょう。