肌の色素沈着は薬で治せる?
色素沈着とは、紫外線や、かぶれなどの外部の刺激によって生成されたメラニン色素が、肌のターンオーバー(新陳代謝)の異常などにより肌に残ってしまったものです。
色素沈着の中でも、肌の日焼けやかぶれが原因の色素沈着であれば、市販の飲み薬を服用することで、色素沈着の症状を緩和することができます。
また、にきびが治った後に茶色いしみが残っているなど、ニキビ跡に使える市販薬については、別記事で詳しく解説しています。
色素沈着は、時間の経過とともに自然に消えることも多いですが、一度消えずに残ってしまうとそのまま残り続けてしまうこともあります。
原因が特定できない場合は、適切な治療を受けるためにも一度皮膚科を受診することをおすすめします。
肌の色素沈着に効く市販薬の選び方
肌の色素沈着に効く市販薬を選ぶ際は、薬の成分や内容量、服用回数といった点を基準にして選びましょう。
成分で選ぶ
肌の色素沈着に効く飲み薬の代表的な成分について紹介します。
肌の色素沈着を改善したい場合は、以下の成分が配合された薬をお選びください。
- ビタミンC(アスコルビン酸)
- L-システイン
- ビタミンB2・ビタミンB6
- ビタミンE など
■ビタミンC(アスコルビン酸)
ビタミンCには、既に肌に沈着したメラニン色素を無色化し、新しいメラニン色素の沈着を緩和するはたらきがあります。
■L-システイン
L-システインはアミノ酸の一種です。メラニン色素の生成をおさえ、体外へ排出する働きをうながします。
■ビタミンB2・ビタミンB6
ビタミンB2は、皮膚・粘膜の正常な働きを助けます。ビタミンB6は、皮膚や粘膜の正常な働きに加え、たんぱく質からのエネルギーの産生を助けます。
■ビタミンE
ビタミンEは血行を促進し、新陳代謝を活発にすることでメラニンの排出をサポートします。また、ビタミンCと一緒に摂取することで相乗効果が得られます。
内容量や服用回数で選ぶ
同じ効能効果を持つ薬であっても、薬によって1日の服用回数は異なります。薬を飲む回数をなるべく減らしたい方は1日の服用回数が少ない薬を選ぶなど、自身のライフスタイルに合わせて薬を選択するのも良いでしょう。
肌の色素沈着の改善には時間がかかるため、毎日の生活のなかで続けやすいものにしましょう。
また、薬が自分に合うかまず試してみたい場合は内容量が少ないものを、こまめに市販薬を購入するのが手間と感じる場合は内容量が多いものを選ぶのもよいでしょう。
効能・効果で選ぶ
肌の色素沈着に効く薬を選ぶときは、必ず効能・効果の欄に「色素沈着」の記載がある薬を選びましょう。
たとえ適切な成分が配合されていても、成分の配合量が異なるなどで肌の色素沈着に効果がない場合があります。
薬を選ぶときは効能・効果の欄を確認しましょう。
肌の日焼け・かぶれによる色素沈着に効く市販薬
市販薬を使用することで、日焼け・かぶれによる色素沈着を薄く目立たなくすることができます。市販薬によって、色素沈着の原因であるメラニンの生成を抑制したり、沈着したメラニン色素を体外へ排出する効果が期待できます。
市販薬は成分や内容量、服用回数などを参考に、ご自身に合った薬を選びましょう。
ホワイトシャインLC|日焼け・かぶれによる色素沈着におすすめ
ホワイトシャインLC 180錠【第三類医薬品】
成分 | 分量(6錠中) |
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アスコルビン酸(ビタミンC) | 1000mg |
L-システイン | 240mg |
リボフラビン(ビタミンB2) | 6mg |
ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6) | 12mg |
コハク酸d-α-トコフェロール(天然型ビタミンE) | 50mg |
ビタミンCとL-システインが肌に沈着したメラニンを無色化し、新しいメラニンの生成を抑制します。ビタミンB2とB6が皮膚や粘膜の正常な働きを助け、ビタミンEが血行を良くします。パウチ型で持ち運びやすく、1日2回の服用で済むことが特徴です。
ホワイティフルは、商品に添付してあるQRコードを読み込むことで薬剤師に無料で相談ができます。薬に関する疑問や心配事を薬剤師に相談できるため、安心して薬を使用することができます。
■効能効果
◯次の諸症状の緩和:しみ、そばかす、日やけ・かぶれによる色素沈着 ◯次の場合の出血予防:歯ぐきからの出血、鼻血「ただし、これらの症状について、1か月ほど使用しても改善がみられない場合は、医師、薬剤師又は歯科医師に相談すること」 ◯次の場合のビタミンCの補給:肉体疲労時、妊娠・授乳期、病中病後の体力低下時、老年期 |
ハイチオールCホワイティア|シンプル処方
ハイチオールCホワイティア 120錠【第三類医薬品】
成分 | 分量(4錠中) |
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L-システイン | 240mg |
アスコルビン酸(ビタミンC) | 500mg |
パントテン酸カルシウム | 30mg |
ビタミンCとL-システインが肌に沈着したメラニンの無色化、新しいメラニンの生成の抑制、肌のターンオーバーの正常化、角質の排出といったさまざまな効果を発揮します。
さらに、パントテン酸が皮膚や粘膜の正常な働きを助けます。
■効能効果
◯しみ・そばかす・日やけなどの色素沈着症 ◯全身倦怠 ◯二日酔 ◯にきび、湿疹、じんましん、かぶれ、くすりまけ |
ビタミンC錠「2000」|ビタミンC2000mg※配合
ビタミンC「2000」 100錠【第三類医薬品】
成分 | 分量(6錠中) |
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ビタミンCとして | 2000mg |
リボフラビン酪酸エステル(ビタミンB2酪酸エステル) | 6mg |
ビタミンCが過剰に作られたメラニンを無色化し、肌のターンオーバーを促進します。
また、皮膚の新陳代謝を促進し、メラニンの排出に効果を発揮します。ビタミンCの1日分配合量が多いのが特徴です。
*成人最大服用量の場合
■効能効果
◯ 次の場合のビタミンCの補給:肉体疲労時、妊娠・授乳期、病中病後の体力低下時、老年期 ◯次の諸症状の緩和:しみ、そばかす、日やけ・かぶれによる色素沈着 ◯次の場合の出血予防:歯ぐきからの出血、鼻出血 |
肌の色素沈着を治す塗り薬はある?
色素沈着などのしみ対策として市販されているクリームなどの製品は、ほとんどが医薬部外品と呼ばれる部類です。
医薬部外品と表記されている製品は、しみや色素沈着を予防する効果は認められていますが、すでにできてしまったしみや色素沈着に対する効果は認められていません。
つまり実質、しみや色素沈着を治す塗り薬は2024年2月現在、市販されていません。
すでにできてしまった色素沈着に対しては、塗り薬ではなく医薬品としての効果が認められた飲み薬の使用をおすすめします。
ただし、日やけ後に肌が乾燥している場合は、ヘパリン類似物質などを配合した保湿効果のある塗り薬を併用して肌のターンオーバーをサポートするのもよいでしょう。
ヘパリン類似物質の効果
ヘパリン類似物質には、保湿・抗炎症・血行促進の3つの効果があります。
ヘパリン類似物質が皮膚で水分を保持し、乾燥を防ぎ、皮膚のバリア機能を改善します。
血行を促進する作用があるためすでに出血しているような傷には使用できませんが、皮膚の炎症をおさえ、肌荒れを改善する効果もあります。
ヘパリン類似物質が 使用される主な症状 |
・手指の荒れ |
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アットノンEXクリーム【第二類医薬品】
成分 |
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ヘパリン類似物質 |
アラントイン |
グリチルリチン酸ジカリウム |
ヘパリン類似物質がターンオーバーを促すとともに、アラントインが皮膚組織の修復をサポートし、グリチルリチン酸ジカリウムが肌の炎症をしずめます。
■効能効果
きず・やけどのあとの皮ふのしこり・つっぱり(顔面を除く)、ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症、手指の荒れ、手足のひび・あかぎれ、乾皮症、小児の乾燥性皮ふ、しもやけ(ただれを除く)、打身・ねんざ後のはれ・筋肉痛・関節痛 |
フェルゼアプレミアムHPミルクジェル 50g【第二類医薬品】
成分 |
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ヘパリン類似物質 |
トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE) |
ヘパリン類似物質が肌を保湿し、トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)が血行を促進します。みずみずしい使用感のミルクジェルタイプの商品です。
■効能効果
乾皮症、小児の乾燥性皮膚、手指の荒れ、手足のひび・あかぎれ、ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症、しもやけ(ただれを除く)、きず・やけどのあとの皮膚のしこり・つっぱり(顔面を除く)、打身・ねんざ後のはれ・筋肉痛・関節痛 |
炎症後の色素沈着を治す飲み薬|シナール
にきび、傷、やけど、虫刺され、かぶれなどによるさまざまな皮膚の炎症が原因となって、生成されたメラニン色素が肌に沈着します。これを炎症後色素沈着と呼びます。
炎症後の色素沈着に効果のある飲み薬のひとつに、シナールという薬があります。
シナールは、病気や妊娠・授乳中のビタミンの補給のほか、メラニン色素の形成をおさえ、炎症後の色素沈着の改善にも用いられる処方薬です。
また、しみ・そばかすに対しても処方されることがありますが、保険適用とはなりません。
成分は『アスコルビン酸』と『パントテン酸カルシウム』
シナールの成分は、『アスコルビン酸』と『パントテン酸カルシウム』です。
アスコルビン酸(別名ビタミンC)には、抗酸化作用があります。
パントテン酸カルシウムはビタミンB5とも呼ばれ、多くの食品に含まれており、皮膚や粘膜の正常な働きを助けます。
また、少量のパントテン酸カルシウムをビタミンCと同時に服用すると、単独服用時より血中のビタミンC濃度が高まると報告されています。
シナールと同じ薬は市販されている?
シナールと同じ成分の市販薬は、販売されています。ただし市販薬は、成分の含有量が異なるなどの違いはあります。
シナールの処方薬と市販薬の違いや、シナールの代わりに使える市販薬については、こちらの記事で詳しく解説しています。
処方薬のシナール|オンライン診療での処方も
シナールについて、病院での処方をご希望の場合や、「毎日忙しくて病院に行く時間がない!」という方は、診察から薬の受け取りまでスマホ・PCを通じてシナールを処方してもらうこともできます。
ただし、医師の判断により、検査や対面診療が必要となる場合もあるため、処方可能かどうかオンライン診療を受ける予定の病院にあらかじめ確認しておきましょう。
自宅でできる肌の色素沈着のセルフケア
普段の生活の中でできる、色素沈着を改善するための方法について解説します。できてしまったしみを薄くし、新しくしみを作らないように気を付けましょう。
紫外線を防ぐ
紫外線はしみの原因のひとつです。紫外線は日差しの強い夏だけでなく、1年に渡って影響を及ぼします。日焼け止めや日傘などを使って紫外線を防ぎましょう。できるだけ長袖を着用し肌の露出を減らすと効果的です。
肌を保湿する
肌が乾燥していると、紫外線や外的な刺激によるダメージを受けやすくなってしまいます。特に炎症後色素沈着によるしみは保湿によるケアが大切です。毎日の洗顔後に保湿剤などで保湿するようにしましょう。顔以外でも保湿剤を利用するとより効果的です。
ストレスを溜めない
ストレスは肌の老化の原因となる活性酸素を増やします。しみだけでなく、しわなどの原因にもなるため注意しましょう。また、ストレスは女性ホルモンのバランスを乱し、肝斑の悪化原因にもなります。運動や趣味など自分にあったストレス解消法を見つけてください。
睡眠をしっかりとる
睡眠不足は肌にとって良いことはありません。規則正しい生活習慣は活性酸素の増加を抑え、肌のターンオーバーを促し、女性ホルモンのバランスを整えます。休日についしてしまう夜更かしが睡眠のリズムを崩し、睡眠不足の原因となるため注意しましょう。毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きることを心がけると体内時計が調整され、規則正しい睡眠のリズムを作ることができます。
継続することが大切
色素沈着の対策は継続することが大切です。一度色素沈着ができてしまうと、薬を使ってもすぐに消えるというものではありません。
紫外線予防や規則正しい生活習慣、そして、飲み薬の服用を継続して行うことで、薄く目立たなくすることができます。