妊娠検査薬の仕組み
受精卵が着床すると、数日の間に絨毛という胎盤のもとができてきます。
絨毛から分泌されるhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)と呼ばれるホルモンは、血液内に入り、尿の中にも排出されます。
妊娠検査薬は、尿中に含まれるhCGホルモンに反応し、尿中のhCGが検出できる量に達したときに陽性反応があらわれます。
一般的な妊娠検査薬は、尿中のhCGの量が50IU/mL以上あると、陽性反応を示します。
フライング検査とは?
妊娠検査薬の使用は、一般的に生理開始予定日の1週間後が適切なタイミングですが、生理開始予定日から1週間経たないうちに、早期妊娠検査薬を使って検査することを「フライング検査」と呼ぶことがあります。
早期妊娠検査薬は、「1日でも早く判定結果が知りたい!」といった場合に使うこともできますが、一般的な妊娠検査薬に比べ、精度が落ちてしまいます。そのため、フライング検査で妊娠が判明したとしても、必ず再度検査をするようにしましょう。
なお、早期妊娠検査薬は、薬剤師による対面販売が必要な体外診断用医薬品に分類されるため、ネット上での購入はできません。
妊娠検査薬の選び方
妊娠検査薬には、いくつかの種類があり、メーカーや商品によって内容や使用方法が異なります。
ここでは、妊娠検査薬を選ぶポイントを紹介します。
どうしてもより早い段階で結果を知りたい場合
1日でも早く妊娠しているか知りたいという方には、生理予定日当日もしくは予定日の前から使える早期妊娠検査薬があります。
しかし、早期妊娠検査薬を使う際は、hCGホルモンの分泌量が十分でない場合があり、妊娠していても陰性反応が出る可能性があるため、日にちをおいて再度検査をする必要があります。
また、早期妊娠検査薬は、購入時に薬剤師による説明、指導が義務付けられています。
対して、ネット上でも購入できる通常の妊娠検査薬は、使い方を間違えない限りほぼ確実に正しい判定が出ます。そのため、確実な結果を知りたい場合は、通常タイプを選ぶことをおすすめします。
メリット | デメリット | |
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通常タイプ | ・検査の精度が非常に高い | ・検査ができるのは生理予定日1週間後 |
早期タイプ | ・生理予定日当日もしくは 予定日の前から使える |
・取り扱っている薬局でしか買えない |
複数回使いたい場合
妊活中の方や、より正確に調べたいなどで複数回使いたい場合は、2回用を選ぶという選択肢もあります。
さらに、本数が多い2回用を選んだ方が1本当たりの単価が安く済むため、続けて使用したい方は、2回用を選ぶことをおすすめします。
使いやすさを重視する場合
メーカーや商品によって、尿をかける時間や、陽性か陰性かの判定結果が出るまでの時間、判定結果の表示、スティックの形状などが異なります。
そのため、少量の尿で済ませたい方は尿をかける時間が少ないもの、判定結果を早く見たい方は、判定結果が出るまでの時間が短いもの、あるいは判定結果の表示が見やすいもの、といったポイントで選ぶとよいでしょう。
妊娠検査薬
生理予定日1週間後から検査できる、通常タイプの妊娠検査薬を紹介します。
ドゥーテスト・hCGa
尿をかける時間 | 2秒 |
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判定時間 | 1分 |
特徴 | ・尿を当てる時間が2秒と短く、尿量が少なくても検査できる ・採尿部が大きくはねにくい構造 ・HPでは使い方の動画もあり、初心者でも分かりやすい |
採尿部が広い面積を保ちつつも、はねにくい構造となっています。
さらに、尿をかける時間もわずか2秒であることから、簡単に判定することができます。
HP上で、使い方の動画を見てから使うこともできます。
外部リンク: ドゥーテスト・hCGa|使い方を動画で見る
クリアブルー
尿をかける時間 | 5秒 |
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判定時間 | 1分 |
特徴 | ・判定結果が1分の早さでわかる ・判定結果がひと目でわかる青い線 ・スリムな形で尿の跳ね返りが少ない |
スティックに尿をかけてから、わずか1分で測定可能です。
判定窓には、はっきりとした青い線が出るため、ひと目で判定結果がわかります。
スティック本体は、スリムで尿の跳ね返りが少なく、清潔に使用できます。
チェックワン S
尿をかける時間 | 2秒 |
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判定時間 | 1分 |
特徴 | ・判定結果が1分の早さでわかる ・判定結果が残るため、パートナーにも見せやすい ・スリムな形状 |
判定時間が1分と短時間で結果が分かります。
また、判定結果が残るため、パートナーにそのまま見せたり、病院へ持って行くこともできます。
スティック本体はスリムで持ちやすく、尿のはね返りもないため、清潔に検査できます。
P-チェック・S
尿をかける時間 | 5秒以上 |
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判定時間 | 1〜3分 |
特徴 | ・スティック部分が長く、使いやすいロングタイプ ・尿の跳ね返りが少ない ・HPでは使い方の動画もあり、初心者でも分かりやすい |
スティックの持ち手部分が長く、持ち手に滑りにくいグリップもついており、尿の跳ね返りが心配な方も使いやすいです。
採尿部も大きいため、尿をかけやすいことも特徴です。
HP上では、検査の仕方がイラストや動画で説明されています。
外部リンク: 妊娠検査薬 P-チェック|検査・判定のしかた
妊娠検査薬は最短でいつから検査可能?生理予定日当日の確率は?
妊娠検査薬を使う時期は、生理予定日から1週間ほど経過した頃が望ましいとされています。また、検査の精度は99%とほぼ確実なため、正しく使用すれば正確に判定されます。
一方、早期妊娠検査薬は、生理予定日当日や生理予定日の前から検査でき、生理予定日当日では、99%の正確さで検査可能とされています。
ただし、検査時期が早すぎると、妊娠していても尿中のhCG濃度が少なく、陰性になる可能性があるため、生理予定日から1週間待って検査をすることをおすすめします。
「生理予定日がわからない」「生理周期がバラバラ」という場合は、性交後妊娠が成立すると、hCGが分泌されるまでに3週間程度かかるため、「性交した日から3週間後」くらいを目安に検査するとよいでしょう。
妊娠検査薬を使うべき時間帯は?朝と夜の違いはある?
妊娠検査薬は、朝、昼、夜、どの時間帯の尿でも検査できます。
朝の尿が最も濃く、hCG濃度も高いことから、朝がおすすめと言われることもあります。ですが、研究により、早朝尿のhCG濃度が高いということはなく、それよりもhCG分泌量と尿中の濃度による個人差が大きく影響すると考えられています。
妊娠検査薬の正しい使い方
①妊娠検査薬に尿をかける
スティックの先端にある採尿部に尿をかけます。
製品ごとに尿をかける秒数が異なる場合があるため、事前に添付文書で確認しておきましょう。
妊娠検査薬は、少ない尿量でも検査できますが、添付文書にある時間を過ぎて尿をかけすぎてしまうと、正しく検査ができない場合もあります。
また、尿をとる際は、紙コップなどの容器にとって採尿部をひたす方法も可能です。紙コップなどを使用する際も、添付文書にある時間を守り採尿部をひたしてください。
②判定が出るまで水平にしておく
尿をかけたあとは平らな場所に検査薬を置いて、水平にして判定結果があらわれるのを待ちます。
ここで斜めに傾けたり縦にしたりしてしまうと、正確な判定ができなくなる可能性があります。
③判定結果を確認する
判定窓を確認し、線があるかどうかで判断します。
出てくる線の色や場所は、妊娠検査薬によって異なるため、添付文書でよく確認しておきましょう。
妊娠検査薬の判定線が薄い場合は?
判定窓に線が出ていれば、色の濃さに関係なく陽性となります。
判定線が薄い原因は、検査前に水分をたくさん摂取していて尿が薄く、hCGホルモン量も少なかったり、使用する時期が早すぎる可能性などが考えられます。
妊娠の初期段階では、hCG濃度は日ごとに徐々に高くなるため、2~3日ほど空けてもう一度検査いただくか、産婦人科を受診して検査を行うことをおすすめします。
妊娠検査薬で稀にみられる偽陽性とは?
妊娠検査薬は、正しいタイミングで正しく使用すると、判定の精度は99%といわれています。
ただし、妊娠していなくても、ストレスやホルモンバランスの乱れなどで、hCGが微量に分泌される場合があり、ごく稀に、本当は妊娠していないにもかかわらず、妊娠していると判定されてしまう「偽陽性」となることがあります。
妊娠検査薬の判定はあくまでも目安であるため、気になることがある場合は、産婦人科を受診して適切な検査を受けましょう。
偽陽性として考えられる要因は、以下の通りです。
偽陽性として 考えられる要因 |
・閉経の後 ・不妊治療のためにhCG製剤(排卵を促すなどの機能のある薬)の 投与を受けている ・絨毛がんなどのがん ・流産や中絶後間もない ・糖尿病や蛋白尿、血尿など不純物が多い など |
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妊娠検査薬に関するQ&A
Q 妊娠検査薬で陽性の場合、いつ病院に行けばいい?
A 病院に行くべきタイミングは、「この日」と決まっているわけではありませんが、生理予定日を過ぎて1週間後に検査をし、陽性となった時点で、できるだけ早く医師の診察を受けてください。
受診の時期が早すぎると、正常妊娠であっても子宮の中に赤ちゃんが入った袋である胎のうが見えず、遅すぎると、異所性妊娠(子宮外妊娠)などの異常妊娠を見逃すおそれがあります。妊娠している場合は、次の生理予定日の頃は、ほぼ妊娠4週目にあたり、既に胎児の脳や心臓などが形成され始めています。
また、妊娠検査薬を使う前に、水分のとり過ぎで尿中に含まれるhCG濃度が薄くなったり、双子などの多胎妊娠によりhCGの濃度が濃すぎたりすることでも、実際は妊娠しているにもかかわらず、妊娠検査薬で陰性になることもあります。
妊娠検査薬では、正常な妊娠かどうかまでは判別できないため、できるだけ早く病院へ行くことで、医師が問診や超音波検査などの結果から総合的に妊娠の確定診断を行うことができます。
Q 妊娠検査薬で陰性から陽性になった場合は?
A 生理予定日から1週間が経つ前など、検査するタイミングが早すぎたり、添付文書通りに正しく使えていなかったなどの場合、検査をして陰性でも、さらに日数を空けて検査をすると陽性になることもあります。
検査をする際は、添付文書をよくご確認の上、検査してください。
Q 妊娠検査薬で陽性から陰性になった場合は?
A 一度は妊娠したものの、赤ちゃんが成長できず流産となってしまった場合、一定期間は体内にhCGが残っているため、妊娠検査薬が反応し、陽性が出た後に出血し陰性となることはあります。
妊娠や出産を希望し、妊娠検査薬が陽性となった場合に出血が見られた際は、すみやかに産婦人科を受診しましょう。
Q 薬の服用や飲酒、喫煙は、判定に影響しますか?
A 薬の服用や飲酒による影響はありません。
ただし、不妊治療などでhCGを含んだ性線刺激ホルモン剤の投与を受けている場合、注射後約1週間前後は、妊娠しているかどうかに関係なく、結果が陽性になる可能性があります。そのため、正確な診断については、医師にご相談ください。